「冠水しやすい」低地に避難所 向かった住民を襲った水

有料記事台風19号

井上充昌 大宮慎次朗
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 台風19号で10人が犠牲になった宮城県丸森町で、町が開設した避難所4カ所は浸水土砂災害の危険があると、町のハザードマップ上で指摘されていたことがわかった。この4カ所で町全体の避難者の半数近くを受け入れ、うち1カ所は周辺が水没。向かっていた複数の住民が車の水没などで命の危険にさらされていた。

 2016年12月に町が作成した防災マップによると、町内には指定避難所が39カ所あり、想定する対象災害に応じて、「洪水」は28カ所、「土砂」は32カ所を指定している。

 台風が近づいた10月12日、町内では大雨特別警報土砂災害警戒情報が出され、町は指定避難所13カ所を開設した。だがこのうち、町役場隣の「丸森まちづくりセンター」と、舘矢間(たてやま)まちづくりセンターは浸水想定エリア内にあり、マップでは洪水時の避難先ではなかった。丸森小学校と耕野まちづくりセンターも土砂災害の危険があるエリア内で、土砂災害時の避難先にはなっていなかった。

 この4カ所には12日午後10時すぎ、全13カ所の避難者(425人)の半数近い計204人が身を寄せた。丸森まちづくりセンターは最多の92人がいた。

 同センターはマップでは3~5メートル未満の浸水が想定されていた。雨漏りのため、避難者全員が隣の町役場に移ったが、町役場も含めて周囲は冠水し、出入りは消防や警察、自衛隊のボートを使った。冠水が解消したのは15日未明で、町役場に設置された災害対策本部は外部からの固定電話がほぼ通じなくなった。役場庁舎と外部のやりとりには、わずかに通じた職員の私用携帯電話に頼った。

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 同センター周辺は08年8月…

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