政治主導 遅すぎ小さすぎた韓国、早すぎ重すぎた日本
日韓インタビュー 申珏秀(シン・ガクス)さん(元駐日大使)
かつて最前線で日韓関係を見てきた元外交官は、両国の政治指導者と外交当局が相手の考え方を読み誤ったとして厳しい目を向ける。互いにグローバルな視野を持つことの大切さを説きつつ、いま両国に必要な対応を提言した。
――過去の日韓関係悪化の局面と何が違いますか。
「かつては期間が短く、原因は政治だけでシンプルでした。今回は政治に加えて経済、安保、人的交流など全方位で、様々な局面の悪化が起きています」
――そうなった背景は?
「両国とも民主主義国家で、ポピュリズムの影響も受け、政権は世論をくんだ政策を行う。すると相手国の国民感情を刺激し、理性的な対応が難しくなっています。さらに、両国は世代交代と経済格差の縮小が進み、これまでの関係性が変化しているのです」
「かつて韓日には争いが起きても調整するメカニズムが働きましたが、それが弱まっている。私が駐日大使を務めた2012年に当時の李明博(イミョンバク)大統領が独島(日本名・竹島)に上陸して関係が悪化した際、韓国の外交省と日本の外務省は、それぞれ協議の権限を与えられ、対話のチャンネルがしっかり機能していた。今は大統領府と官邸が前面に出て、外交当局は脇に追いやられています」
――政治主導の外交がうまく機能していないと?
「外交はタイミングです。韓…
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