神奈川県綾瀬市と米海軍厚木基地は来年度から、基地の中の小学校を舞台に、双方の小学生の交流を年間を通して進めることで合意した。市側は「留学」と位置づけて国際的な視野を持つ子どもの育成を、基地側は日本文化の理解や地域とのつながり強化を目指す。市は基地立地自治体として多くの負担を抱える一方、活用策の創出を模索していた。4日、試験的に授業や交流会が開かれた。

 厚木基地は、近隣市の学校との交流や英語授業の支援などを続けているが、基地の学校のカリキュラム体験を長期的に受け入れるのは初めて。ロイド・マック司令官は「子どもは皆の未来。互いに異なる言語、文化、社会体験を共有し、綾瀬のお子さんは普段できない体験もできる。両国の友好関係を進める礎となることを願います」と述べた。

 綾瀬市は外国に姉妹都市を持たず、青少年の留学の場を検討してきた。今夏、古塩政由市長らが「綾瀬の最大の特徴は厚木基地で市内に外国があるのと同じ。基地に留学できないだろうか」と発案。基地に「まずは数日でも」と打診すると、「年間を通して続けましょう」と快諾されたという。

 市にとって、厚木基地は騒音や事故の被害などの負担を被る施設だ。市域の2割を占め開発も阻害されており、返還を求める姿勢は変わらない。一方で短期的には全面返還は難しく、活用も模索。観光の柱であるロケツーリズムで、基地を制作者に紹介するロケ地に登録するなどしてきた。

 古塩市長は「今回、好反応をいただき、新たな活用策にしていきたい。友好を深め双方を生かしあう制度にするため、詳細に検討していく」と話す。

 「留学先」は、基地の住宅地区にある「シャーリー・ランハム小学校」だ。創立50年。国防総省の7年生教育機関で、軍人や軍属の子ども約300人が学ぶ。

 今回、制度化に向け、綾瀬市の小学生9人が同校を訪問。10月30日には放課後に科学実験を、11月4日には1日かけて同校のカリキュラムを体験した。

 4日は、米国の子どもと一緒に…

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