レバノン「アプリ課税」引き金のデモ長期化 背景に格差
中東レバノンで大規模な反政府デモが始まってから2週間を超えた。続くデモは首相を辞任に追いやったが、さらなる政治改革を求める声が強い。激しい宗教対立の歴史を持つレバノンだが、厳しい経済状況を背景に広がる若者たちの不満は、宗教や宗派を超えて社会全体を巻き込んでいる。(ベイルート=高野遼)
1日夜、首都ベイルート。政府庁舎の前に広がる広場に若者たちが集まってきた。
「革命だ」。大音響で音楽を流し、肩を組んで首相府に向かって声を上げる。レバノン国旗があちこちで振られている。
「大学を中退してから仕事がない。ひどい経済状況に絶望している」。テント内で夜通し座り込みをしているマジェド・ドブさん(22)は嘆いた。日雇いの電気工事で食いつなぐが、稼ぎは1日3千円。しかも10日に1度くらいしか仕事がないという。
報道などによれば、35歳未満の若者の失業率は40%近くになる。上位1%の富裕層が全国民所得の4分の1を占める格差社会だ。
デモが始まったのは、10月17日。スマートフォンのアプリを使った無料通話への課税を政府が提案したことが引き金となり、若者たちの政治エリートへの不満が爆発した。
広場でのデモは一時、数万人規模に膨れあがった。広場の一角にはいまも、治安部隊に強制撤去されたテントの枠組みが積み上げられている。
■目標は「古い政治を壊すこと…
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