「避難訓練」という名の芸術祭 なぜ逃げねばならぬ?

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田中ゑれ奈
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 テーマは「避難訓練」? 大阪・梅田から約1時間、能勢(のせ)電鉄沿線から北極星信仰の聖地・日蓮宗霊場「能勢妙見山(みょうけんざん)」へ至る一帯で、一風変わった芸術祭が開かれている。アートプロデューサーが芸術を通して提案する「危機への備え」とは。

アートプロデューサーは「前田文化」というユニット。記事の後半では、「管理人」の方が「避難訓練」に込めた思いを語っています。

 「のせでんアートライン」は隔年の芸術祭。6年前、能勢電鉄開業100周年記念事業として始まった。

 4回目の今年は8組のアーティストが参加。新旧村落と山間部でのリサーチで見えてきた地域共同体の営みや信仰に、わずかな異物感がまじる作品群を展開する。

 例えば、ときわ台駅前のバイク店。外壁の「HONDA」のロゴのDだけが青いプラスチック製に置き換えられている。渡邉朋也a.k.a.なべたんが手がけるのは、商店のロゴや公園の柵といった街中の小さな欠損を3Dプリンタで再製し「勝手に直す」プロジェクト。「修復」の経過は地域にたくさんある掲示板と、芸術祭公式サイトで報告している。

 ディエゴ・テオは、住人が亡くなり放置されていた家屋でインスタレーションを制作。家の主だった人物に思いを寄せつつ、大阪府豊能町(とよのちょう)の山中で捕獲され地元の寺で飼育されているツキノワグマ「とよ」の物語をさまざまなイメージへと発展させた。

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 建築家の岡啓輔が地域住民と…

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