「世界の終わり」の後に 富裕層シェルターで考えた国家

有料記事経世彩民

アメリカ総局・青山直篤
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経世彩民 青山直篤の目

 オズの魔法使いの舞台、米カンザス州は大草原だ。そのただなかに、告げられた住所はあった。銃で武装した守衛から身元確認を受けると、ラリー・ホール氏(62)が出迎えてくれた。入り口は防空壕(ごう)のようだ。

 ホール氏はここ「サバイバル・コンドー」の開発者だ。コンドーとは分譲マンションの意味だが、普通のマンションとはちがう。核戦争や大災害のような「世界の終わり」がやってきたとき、生き残るためのシェルターだ。

 地下15階、深さは60メートル。もともとは大陸間弾道ミサイルを格納する竪穴だった。冷戦が終わり、米政府から近くの農家に払い下げられた竪穴をホール氏が2008年に買い、何年もかけて改造した。

 顧客のターゲットは富裕層だ。分譲しているのは12のユニットで、75人まで収容できる。単価は150万ドル(1億6千万円)~500万ドルほどで、毎月の維持費もユニット当たり数十万円かかる。買うのは「たたき上げの大金持ち」ばかりだという。

経済という言葉の語源「経世済民」には「世をおさめ、民をすくう」という意味があります。原則、毎週火曜朝に配信するコラム「経世彩民」では、記者が日々の取材を経て思うこと、伝えたいことを色とりどりの視点でつづっていきます。

 最近、複数のユニットを持っていた億万長者が「世界の終わり」を見ることなく亡くなったため、いまは未分譲の物件もある。顧客の関心は高く、ホール氏は「買い手が決まるのにそう時間はかからないだろう」とみる。

「ヘリも撃ち落とせる」武器庫の目的は…

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