「働かないおじさん」として若者から冷たい視線を感じてしまう53歳の記者が、独立行政法人労働政策研究・研修機構(JILPT)研究所長の濱口桂一郎さんに聞きました。
◇
――私は昔のような体力はありませんが、健康である限り働き続けたい。でも、それがかなうような社会になるんでしょうか。
「まず聞きたいのですが、あなたはいま、給料に見合うような仕事をしていますか」
――(しばし沈黙)。この質問に胸を張って答えられないところが……。
「そうでしょうね。年功で賃金が上がっていく日本の制度だと、中高年になれば貢献よりも報酬が高すぎる状況が生まれやすい」
「でも、勘違いしないでください。私は『若者に比べて、日本の中高年サラリーマンは既得権にしがみつき、いい目を見ているからけしからん』と言っているわけではありません。世代間の対立や分断をあおる言説は非生産的です」
高齢になっても働くのが当たり前――。そんな時代の足音がひたひたと聞こえます。国全体を眺めても、人口減少による現役世代の激減を前に、政府は「一億総活躍」という言葉で高齢層を労働力に繰り入れようとしています。私たちの人生から「老後」という時間が消えていくのでしょうか。「老後レス時代」の生き方を考えます。
――どうしてですか…
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