教員でも職員でもない「第三の職種」研究者支えるURA

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佐藤剛志
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 全国の大学で、研究力強化を支える専門職「ユニバーシティー・リサーチ・アドミニストレーター」(URA)を置くケースが増えている。

 研究に必要な資金を大学外から調達することや、学内の研究者と企業や行政が一緒になって課題に取り組む産官学連携の推進などで重要な役割を担っているという。教員でも事務職員でもない「第三の職種」とも呼ばれるURAとはどんな仕事なのか。

 京都大学吉田キャンパス(京都市左京区)の一角にある建物の玄関に「学術研究支援室」の文字を見つけた。同室URAの白井(しらい)哲哉さん(41)によると、2012年の発足当初8人だったURAは46人に増えた。「この数年でURAの認知度は確実にあがっています」。7割が博士号を持つ元研究者で、民間企業での勤務経験者も3割。男女比は半々だ。

 URAが担う仕事は幅広い。資金調達以外にも研究成果を社会に発信したり、多数の研究者が参加する大型研究プロジェクトを企画・運営したりする役割もある。

 研究者がURAを身近に感じる機会が、競争的資金の獲得支援業務だ。文部科学省が6月に発表したデータでは、17年度に大学教員が同資金の申請書類作成などに費やした時間は平均で年間43時間。研究時間の5%にもあたる。審査する側が斬新さや可能性を感じる申請書類を作るには工夫も必要だが、全ての研究者がそうした事情に通じているわけではない。

 西沢雅子さんは30年近く企業研究者として働き、17年に製薬企業からURAに転じた。医学部や薬学部などの研究者を担当する。

 「若い先生だと、その研究の面白さや、研究が必要とされる根拠は何かといった点がうまく申請書に書かれていないこともあります」という。面談を経て、本人も納得する充実した申請書ができた時はうれしいと西沢さん。「様々な研究者と接点を持ち、他大学や企業とつなぐことで大きく花開きそうな研究の種を見つけることにもやりがいを感じています」

 自然科学から人文・社会科学まで幅広い研究が対象の「科学研究費補助金」(科研費)は、代表的な競争的資金だ。支援室では、申請初心者を主な対象にした「科研費申請書の教科書」を作成し、書き方のポイントをまとめている。

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 森脇一匡(かずまさ)さん(…

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