台風19号が首都圏に近づいた夜。東京23区のあるマンションで、小さな試みがあった。浸水した低層階の住民を、上の階が受け入れて自宅に泊めてあげる。名付けて「分泊」。成否のカギを握ったのは、日頃の住民のつきあいの深さだ。
12日夕方。多摩川がのぞめるマンションに、川からあふれた水が押し寄せてきた。住民たちが入り口に置いた土囊(どのう)を、水はやすやすと乗り越えた。
マンションには約100世帯が住む。管理組合の理事をつとめる50代の男性は、1階の住民が窓から脱出しているのを見つけた。水圧で玄関のドアが開かなくなっていた。
手分けをして、1階の他の部屋にも声をかけた。浸水に気付かずに室内にとどまっている人もいた。最後の一人を窓から引っ張り出して10分後、1階は腰のあたりまで水につかってしまった。
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周囲は暗く、暴風雨がうなる…
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