「私はだめな人間」うつ病療養で島へ向かった女性は

有料記事患者を生きる

田村建二
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【まとめて読む】患者を生きる・眠る「不安とうつ」

 東京都に住む看護師の女性(47)は、多忙な仕事や家庭内での困りごとなどをきっかけに体調を崩し、うまく眠れなくなってしまいました。後に、不眠の背景にはうつ病や不安症があることがわかります。リウマチによる痛みにも見舞われます。つらさを抱えながら、どのようにして前に進んでいったのでしょうか。

島で療養、調子には波

 「あなた、最近おかしいよ。先生にみてもらったら?」

 女性が同僚の看護師からそう指摘されたのは、2008年の春だった。確かに、自分はふつうではなかった。

 自身も看護師で、病院で働き始めて2年目。多忙に加えて、小学2年生だった長男が不登校になっていた。別の生徒にいじめをしたと教員に誤解され、責められたのがきっかけだった。同居していた祖母と母親の介護も重なった。

 体は疲れているのに、夜中の12時を過ぎても眠りにつけず、朝5時には目が覚めた。寝付きをよくしたくて、お風呂にゆっくりつかったり、部屋でアロマオイルをたいてみたりした。でも、あまり効果は感じなかった。

 通勤中におなかをこわし、電車が駅にとまるたびに途中下車してトイレに行った。職場に着くのも遅れがちで、同僚からの「おかしい」の指摘につながった。

 勤務先の消化器内科医にみてもらうと、「不調なのはおなかだけじゃないね。眠れている?」。紹介された精神科を受診して、うつ病と診断され、抗うつ薬と睡眠薬を処方された。仕事は休まざるを得なかった。

 長男は、「もうあの先生のいる学校には戻りたくない」と訴えた。じゃあ、いっそ自分の転地療養も兼ねて、引っ越そうか?

 夫とは別れていて、家にはおらず、精神科の主治医も母も賛成してくれた。かつて観光で何度か訪れ、気に入っていた伊豆大島に、09年4月に2人で移り住んだ。

 豊かな自然と親切な住民に触れ、長男はすっかり元気になった。夕食のあと温泉施設に通うなど、女性も島の暮らしを楽しんだ。ただ、調子には波があった。いいときは午後10時ごろ眠りについた。悪いときは12時をすぎても眠気が来なかった。

 現地の診療所で看護師として働き始めてまもなく、両手の指の関節が痛み出した。塗るタイプの鎮痛薬は効かず、ステロイド薬をのむとよくなった。のちに、原因は関節リウマチだと判明した。

 ステロイドをのむと胸がざわざわして、また眠れなくなった。抗不安薬に加え、睡眠導入薬なども使った。

仕事で責められ、また悪化

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 関節リウマチの症状が改善し…

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