中国主導のAIIBになぜ接近? 日本の深謀遠慮の背景
編集委員・吉岡桂子
ルクセンブルクで7月に開かれた中国主導の国際金融機関、アジアインフラ投資銀行(AIIB)の総会。セミナーの壇上には、これまでAIIBを批判してきた日本政府の元高官らの姿があった。
一人は大蔵省(現財務省)で国際金融畑を歩んだ元財務官で、国際通貨基金(IMF)副専務理事やアジア開発銀行(ADB)理事も務めた加藤隆俊氏(78)。この10月からは各国の要人から助言を受けるAIIBの「国際諮問委員会」(11人)に加わった。
メンバーには、パキスタンの元首相やマレーシアの中銀元総裁らがいる。
「IMFやADBの経験を生かして助言してほしいと依頼された。日本政府の立場から関わるわけではない」。加藤氏はそう話すが、「官邸から了解を得た」(財務省高官)上での人事である。現政権と距離が遠い元首相の鳩山由紀夫氏と交代する形だ。
もう一人は、ゼネコンなどでつくる海外建設協会の山口悦弘専務理事。国土交通省のOBだ。AIIBの総会には、事業の受注やネットワーク作りをめざして多くの人が集まる。日本政府の関係者の姿は珍しかっただけに、目をひいた。
ここから続き
日本がじわりと距離を縮める…
【お得なキャンペーン中】有料記事読み放題!スタンダードコースが今なら2カ月間月額100円!詳しくはこちら