米グーグル系の会社がカナダ・トロント市で進める「スマートシティー」の建設計画が、地元を揺るがしている。最先端のインフラが整う一方、収集されるデータの扱いなどに批判が続出し、関係者が次々と辞任する事態に。10月末、計画に一定のゴーサインは出たが、当初の計画からは後退し、実現までは目が離せそうにない。(トロント=宮地ゆう)
トロント市の南の端に広がる北米五大湖の一つ、オンタリオ湖に沿った道路を、工事車両が砂ぼこりを上げて走り抜けてゆく。
かつて工場などが並んだ土地について、トロント市や同市のあるオンタリオ州、カナダ政府でつくる開発機関「ウォーターフロント・トロント(WT)」が2017年、再開発をスタートさせた。
計画案を募集し、グーグルを傘下に持つアルファベットの子会社「サイドウォーク・ラブス(SWL)」が選ばれた。今年6月、具体的な計画が明らかになると、世界的な注目が集まった。
建設予定地に建つSWLの展示場で、広報担当者がスマートシティーの完成予定の模型を指さしながら説明してくれた。
「電力網のほか、地下にはゴミ処理設備、雨水の処理システムなど最新のインフラ設備を設置する予定です」。それぞれをネットでつないでエネルギーの効率化を追求する。新しい工法でコストを抑えた木造の建築で、約3千戸のマンション、オフィスや店舗を作る。街中にセンサーを張り巡らせて歩行者や車などのデータを集め、通行量に合わせて車線数を変えるなど、交通も最適化するという。
そんな説明から見えてくる未来図は「スマホのような街」とも言える。
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