台風の死者、自治体なぜ匿名? 公表は法的に問題ないが

有料記事台風19号

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 長野県静岡市は24日、台風19号により、それぞれ1人の死亡が確認されたと発表した。朝日新聞の集計によると、死者は福島や宮城、神奈川など13都県で計86人になった。ほかに全国で8人が行方不明となっている。だが、自治体が発表した氏名は一部に限られている。

 「こんなに大勢が亡くなったのに、どのように犠牲になったのか、いまだによくわからない」

 福島県いわき市の女性(74)は新聞やテレビの報道が気になっている。近くの川沿いなどで9人が亡くなったが、大半は詳しい状況が報じられていないからだ。県は死者・行方不明者の氏名を公表していない。

 国の防災基本計画は、人的被害は「都道府県が一元的に集約する」とし、その公表は「都道府県が市町村と連携して行う」と定める。ただ、集約して公表するのは「死者・行方不明者の数」で、氏名や住所の扱いは明記されていない。

 死者と行方不明者がいる13都県に朝日新聞が取材したところ、死者の氏名を公表したのは岩手、長野の両県。死者の身元が判明しない東京都と、県警が独自の判断で公表した宮城、栃木両県を除くと、残りの8県は死者と行方不明者のいずれも公表していない。

 昨年7月の西日本豪雨では、広島、岡山、愛媛の3県で計197人が災害による直接的な被害で亡くなった。3県は遺族の同意を得られなかった2人を除いて死者の氏名を公表した。不明者については、岡山県が家族の同意なしで氏名を公表し、避難が確認できるなど捜索の効率化につながったとされる。

自治体、遺族の「同意」重視

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