「ケンカは1発目が重要」 対韓輸出規制、官邸の計算
日韓関係が泥沼化している。韓国の元徴用工訴訟の判決がきっかけだったが、日本政府が7月、韓国に対する輸出規制を強化。韓国が猛反発し、事態はさらに複雑になった。政府内ではこうした対抗措置には慎重論もあった。それでもなぜ踏み切ったのか、検証した。
安倍晋三首相の官邸執務室で6月20日午後、韓国に関する協議が開かれた。古谷一之官房副長官補、外務省の秋葉剛男事務次官、金杉憲治アジア大洋州局長(当時)、経済産業省の嶋田隆事務次官(同)が集まった。
韓国の大法院(最高裁)は昨年10月、日本企業に対し、元徴用工らへの賠償を命じた。日本政府としては、1965年の日韓請求権協定で賠償問題は完全かつ最終的に解決済みとの立場で、賠償に応じるわけにはいかない。原告側が日本企業の資産を売却する手続きを進め、事態は深刻化する中、日本政府は韓国政府に対し、日本企業に被害が及ばないような対応をとるよう繰り返し求めていたが、事実上のゼロ回答が続いていた。
日本企業に大きな影響を与えず、態度を明確に韓国側に伝えられる方法は何か。政府内では当時、水面下でこうした検討が進んでいたと官邸幹部は言う。
6月20日、首相と政府高官らが集まった協議では、一つの結論が出た。韓国に対する輸出規制を強化する。しかし、この決定は公表されず、保秘が徹底された。
8日後には大阪で開く主要2…
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