「隔離の島」から問う尊厳 心通わせた名優と元患者

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尾崎希海
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 国立ハンセン病療養所「大島青松園」がある瀬戸内の島、大島(高松市)で、「大切な貨物」と題した30分ほどの映像作品が毎日上映されている。11月4日まで開かれている瀬戸内国際芸術祭の参加作の一つ。島に約70年暮らす元患者、脇林睦子さん(83)の言葉に触発されたアーティストがつくった。

 脇林さんは病がもとで生まれ故郷を追われ、14歳のとき大島に連れてこられた。結婚したものの子を持つことは許されず、病が癒えてなお、差別と偏見にさらされた。

 今春、脇林さんの元をノルウェーの俳優リブ・ウルマンさん(80)と、オランダ映像作家クリスティアン・バスティアンスさんが訪れた。島の歴史を主題にした作品づくりに向けた訪問だった。

 人生の大半を大島で過ごした脇林さんと、10代で銀幕デビューを果たし、世界的に名優として名高いウルマンさん。同じ時代に生まれながら、異なる道を歩んだ2人が語り合い、ウルマンさんは脇林さんに、自らの経験を世に伝えるよう勧めた。すると脇林さんは答えた。「過去を悔やみたくない。私は愛と平和のいまを生きています」

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 2人は別れを惜しんで抱き合…

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