関電にみるトップとムラの絆 もはや「反経済的勢力」?

有料記事経世彩民

編集委員・大月規義
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経世彩民 大月規義の目

 またしても、原発がらみの辞任となった。

 福井県高浜町の元助役から多額の金品を受け取っていた責任をとり、関西電力の岩根茂樹社長や八木誠会長、原発担当の役員らが退任すると発表した。

 この20年、日本の大手電力会社のトップが原子力に絡むトラブルによって引責辞任したり、辞任寸前まで追いやられたりする問題が繰り返されてきた。電力トップにとって「鬼門」のように見える原発を、いまも懸命に動かそうとする動機は何なのか。大学で原子力を学び、原発問題を長く取材してきた私の経験から考えてみたい。

経済という言葉の語源「経世済民」には「世をおさめ、民をすくう」という意味があります。コラム「経世彩民」では、記者が日々の取材を経て思うこと、伝えたいことを色とりどりの視点でつづっていきます。原則、毎週火曜朝に配信します。

「しくじると痛い目に」

 はじめは東京電力だった。2002年、原発で起きた大量のトラブルを長年隠していたことが米GE社員の告発で発覚。南直哉社長、荒木浩会長らが一斉に退任した。

 関電の美浜原発3号機では04年、配管の破断と蒸気噴出で作業員5人が死亡する事故が起きた。この責任をとり、当時の藤洋作社長が辞任した。

 北陸電力では07年に、過去に臨界事故を起こしていたことが発覚。11年には九州電力で原発再稼働に向けた世論形成を社員に呼びかける「やらせメール問題」が起き、いずれも経営責任を問う声が上がった。

 08年、当時のある政権幹部は、東電首脳との宴席でこう忠告したという。

 「原発でしくじると痛い目に遭う。くれぐれもよく勉強しておいたほうがいい」

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 忠告の相手は、東電の清水正…

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