30年前のスコットランド戦、平尾誠二はやかんを運んだ

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森田博志
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魔法のやかん

 ラグビーの日本代表がスコットランドと初対戦したのは1976年、相手の本拠、エディンバラのマレーフィールドだった。それから4度目の顔合わせとなった89年5月、日本は東京・秩父宮で初勝利を挙げた。故・平尾誠二主将がチームを引っ張り、28―24で競り勝った。

 この試合で出色の活躍をしたのが、ともに初代表だった中島修二さん(54)と梶原宏之さん(53)の両フランカーに、ナンバー8のラトゥウィリアム志南利さん(54)だった。FW第3列と呼ばれる3選手が激しいタックルを連発し、何度も日本のピンチを救った。

 象徴的な場面があった。前半30分ごろ、中島さんは自陣で相手と激しくぶつかり、右肩を痛めて倒れ込んだ。試合が止まると、平尾主将が水が入ったやかんを持ち、心配そうに駆け寄った。「平尾さんは主将でしたから。『大丈夫か』みたいな声をかけられた気がします」。中島さんは、30年前の出来事を何となく覚えている。

 3年前に53歳で亡くなった平尾さんは、はっきりと覚えていた。2016年6月、スコットランドが来日した際、初勝利を挙げた試合を振り返ってもらった。なぜ、主将自らやかんを持っていったのか?

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 「あいつと梶原に倒れられた…

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