向井大輔
学問の神様として知られる北野天満宮から東に10分ほど歩くと、越後家多齢堂が見えてくる。店名を聞いただけでは何の店かわからないが、江戸末期から続くカステラ専門店だ。
呼び方は「カステイラ」と当時のまま。「越後家」は、創業者が三越の前身の呉服屋「越後屋」に勤めていたことに由来する。創業者が長崎でオランダ人から製法を教えてもらったと伝わる。多齢堂は「その頃はカステラは薬菓子で、長生きしてほしいという意味を込めたのでは」と店主の中川浩さん(51)は話す。
かつては京都御所のほど近くにあり、新選組の隊士も買いに来たという。今の店は中川さんの祖父が1948年に開いた。
原材料は卵、砂糖、水あめ、小…