ワインの「テロワール」日本酒でも 酒どころ新潟の挑戦

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高木真也
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 全国有数の酒どころの新潟。日本酒市場が縮小する中、蔵元や関係者が新たな試みを続けています。自ら原料のコメの生産に乗り出し、地域振興につなげる動きや、海外展開をにらんで日本酒の文化的背景を「学問」と位置づける活動も始まっています。

農村で生活できるモデルを

 新潟・長野県境にそびえる日本百名山の雨飾山(あまかざりやま)(1963メートル)。ミネラル分を豊富に含んだ雪解け水は標高900メートル付近で緩やかな川になり、ふもとの棚田に注ぎ込む。

 「緩傾斜が棚田の養分をじっくりと満たし、理想的な水田になる」と、地元・根知谷集落の蔵元・渡辺酒造の渡辺吉樹代表(58)。同社は社員8人が田植え機やコンバインに乗り、集落内の棚田の1割弱にあたる約15ヘクタールで「五百万石」や「越淡麗」といった酒米をつくる。

 収穫されたコメは集落内の酒蔵に運ばれ、同社の清酒「根知男山」の原料となる。2010年には世界最大規模のワイン品評会「インターナショナル・ワイン・チャレンジ」(IWC)の日本酒部門で最優秀賞「チャンピオン・サケ」を受賞、国内外から400人以上が視察に訪れた。渡辺氏は「うまい酒を造るのは当たり前だし、酒蔵がコメをつくっているだけでもダメ。国内外の人を産地に引き寄せる物語があって、初めて農村で生活できるモデルが成り立つ」。

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 渡辺代表は地元農家の次男…

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