中国が反発、揺れるNBA 巨大市場か表現の自由か

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北京=冨名腰隆 江渕崇=ニューヨーク 田中美保
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 米プロバスケットボール協会(NBA)と中国の間で緊張が高まるなか、上海で予定されていたプレシーズンマッチが10日に開催された。人気チームの幹部が香港のデモを支持したことに対し、世論や当局が強く反発するなか、中国国内では試合がテレビで放映されず、ファンとの交流イベントも次々と中止された。

 ロサンゼルス・レイカーズとブルックリン・ネッツのプレシーズンマッチは10日夜、上海市内のスタジアムで予定通りに行われた。だが会場には、中国国旗や愛国プラカードを持つ観客の姿もあった。

 観戦に来た20代男性は、騒動のきっかけとなったヒューストン・ロケッツのダリル・モーリーGMによる「自由のために戦おう」「香港と共に立ち上がろう」と書かれた画像のツイートを強く非難。「モーリー、謝るか失せろ」「香港は中国に属している」などと書かれたプラカードを掲げて入場した。「NBAの選手は好きだが、毛沢東を尊敬している」と語った。

 一方で、30代男性は「すでに民族イデオロギーの問題になっている。その話はしたくない」と複雑な心境をのぞかせた。世論がNBAへの批判に傾く中、試合観戦に来た人の中には、「愛国を忘れていない」という立場を示そうとしているようだった。

 NBAのアダム・シルバーコミッショナーは8日に日本で開いた会見で、中国側に反発が広がっていることについて「理解できる」としつつ、「表現の自由は規制しない」としてモーリー氏の発言を否定しなかった。中国側はこの対応も問題視しており、中国中央テレビは試合を放送しないことを決定。中国企業は相次いでNBAとの関係を見直すと表明し、試合前に予定されていた選手とファンとの交流イベントもキャンセルされた。

 中国に到着してから「対話をしたい」と話していたシルバー氏は上海入りしてから沈黙を続けている。10日にあるはずだった、選手やシルバー氏の記者会見も中止となった。中国のSNS上には「言論の自由というなら、我々は(2001年に米国で起きた同時多発テロを指す)9・11を支持しようじゃないか」との危うい発言まで出始めた。

 NBAはこれまで、中国を重…

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