幼保無償化で便乗値上げ? 園長に直撃、漏らした本音

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山根久美子 城真弓
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 「子どもの通っている幼稚園が、10月の幼保無償化のタイミングで保育料を引き上げてきました」。読者の疑問や困り事を取材する「#ニュース4U」取材班にそんな声が寄せられた。取材を始めると、幼児教育・保育の無償化に合わせて値上げする施設は全国各地にあった。背景を探った。

「うまいことだまされた印象」母の嘆き

 「無償化で私たち子育て世帯の負担が軽くなったとしても、うまいことだまされた印象が消えません」

 近畿地方の私立幼稚園に子どもを通わせる30代の女性はため息をついた。

 幼児教育・保育の無償化は、消費税の増税分を財源として10月から始まった。ただ、自治体が保育料を決め、その保育料がタダになる公立幼稚園や認可保育所と違い、一部の私立幼稚園などは保育料を各施設が自由に決められるため、無償となる額を超えた分は自己負担となる。

 女性の子どもが通う私立幼稚園もこのケースだ。10月から保育料を月2千円余り値上げする。9月に保護者説明会が開かれたが、その場で園職員は開口一番こう言ったという。「皆さんいいですね、こんな子育て支援(無償化)があって。私の時はなかったからうらやましいわ」

 確かに、値上げ幅は無償となる額の範囲内で、トータルの負担額は安くなる。園の理事長は最後に「値上げ分は、施設整備や職員の処遇改善にあてます」と使い道を説明。質問は特に出なかったという。

 女性は「なぜ値上げをするのか、値上げした分を何に使うのか、もっと詳しく聞きたかったけど、何も言えなくなった。私がせこいみたいで恥ずかしいじゃないですか」と振り返る。

 ほかの保護者には「これまでより払う金額は安くなるし、別に構わない」と肯定的な意見が多かった。女性は「あまり文句を言うと、子どもが幼稚園で嫌な目に遭わないか心配になる。子どもを人質に取られて値上げを受け入れさせられた気分です」とスッキリしない様子。

一体、誰のための無償化なのか。そんなモヤモヤ感を保護者たちは感じていました。値上げに踏み切った幼稚園の実情や先生たちの給与事情を取材したほか、幼児教育に詳しい識者にも話を聞きました。

「私腹肥やすのでは…」疑念

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 名古屋市内の私立幼稚園は…

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