九州北部豪雨 復旧方法巡り深い溝 JRと自治体

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渕沢貴子 山下裕志 宮野拓也 菅原普
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 2017年7月の九州北部豪雨で一部区間が不通になったJR日田彦山線の復旧をめぐり、県議会や一部住民から専用バス路線化(BRT)案を推す声が強まっている。ただ、福岡県で人口が最も少ない東峰村では鉄道復旧を望む声が依然として根強く、協議がまとまる見通しは立っていない。

鉄道失った村 復旧への思い強く

 豪雨で3人の死者が出るなど深刻な被害に見舞われた東峰村。人口は約2千人と福岡県で最も少なく、北九州市と大分県日田市を結ぶJR日田彦山線が唯一の鉄道だった。鉄道がなくなれば観光客や移住者も呼び込めず、過疎化に拍車がかかるとの住民の焦りは強い。

 2日夜に村内の保健福祉センターであったJR九州による住民説明会。線路の一部をバスの専用道路に換えるBRT案から質問を受けようとしたJR側に、住民から「鉄道の質問からやってほしい」と批判の声が上がった。「そっちはコスト、ビジネス的な発想しかない。こっちは思い出や感情を語っている。朝まで議論しても結論は出ない」と怒りをぶつける人もいた。午後7時から途中休憩もなく11時過ぎまで続いたが、議論は平行線だった。

 JR九州は今年4月、復旧方法として①自治体から年間1億6千万円の運行費支援を条件に鉄道を復旧②BRT③普通のバス――の3案を提示。不通区間の所要時間は鉄道44分、BRT49分、バス69分。毎年の運行費は、鉄道の2億9千万円に対し、BRTは1億1千万円で済むと説明した。

 住民説明会後、渋谷博昭村長は「毎年1億6千万円、単純に(沿線市町村の)3で割って5300万円強、この出費はできない」と記者団に強調。11日には担当の福岡県副知事と会談し、費用負担なしでの鉄道復旧を求める声が村のほとんどを占めていることを改めて伝えた。

 村は15日、住民説明会での参加者アンケートの結果を発表。回答した村民の96%が負担なしの鉄道復旧を選択し、BRTはゼロだった。9月の村議会でも「住民とともに鉄道での早期復旧に全力で取り組む」と全会一致で決議している。(渕沢貴子、山下裕志)

福岡県知事が年度内決着を表…

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