32年休まずに切符販売 三日月駅の夫婦、笑顔で引退

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伊藤周
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 無人駅のJR姫新線三日月駅(兵庫県佐用町三日月)で32年余り休まずに乗車券の販売を続けてきた夫婦が9月末で役目を終え、3日、JR西日本などから感謝状を受け取った。同駅はJR西日本神戸支社管内で唯一、駅員以外に乗車券販売を委託していたが、これで廃止された。

 夫婦は、駅の隣にある自宅で通勤・通学客の自転車預かり所を営む春國靖夫さん(78)と康子さん(75)。同駅は旧国鉄時代の1986年に無人駅となった。このため、列車が停車する時間帯に合わせて自転車預かり所に詰めていた春國さん夫婦と靖夫さんの母の故ハツコさんの3人が旧国鉄から委託され、翌87年4月から乗車券の販売を始めた。近年は乗車時に車内で整理券を取り、降車駅で支払う方式になっていたが、乗車券で乗ることを希望する人もいたことから、委託販売が続けられてきた。

 春國さん夫婦は一年中、毎朝6時台から深夜の11時過ぎまで列車が停車する前後に必ず自転車預かり所に詰め、乗車券の販売や自転車の預かり、返却に備えてきた。買い物も慌ただしく済ませ、まとまった旅行も記憶にない。子どもや孫の結婚式の時には一時的に身内に販売の代理を頼んで出席した。

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 乗車券を希望する人には、行…

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