群馬)八ツ場ダム、水没始めた街 住民「もう後戻りは」

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丹野宗丈 泉野尚彦
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 国が建設中の八ツ場(やんば)ダム群馬県長野原町)で、試験貯水が1日始まった。ダム本体の下部にあるゲートは午前9時ごろに閉じ始め、午前10時40分には吾妻川の流れをせき止めた。70年近い歳月と国内のダムで最高額の約5320億円を費やし、500世帯近くが暮らした土地は水底に沈む。地元住民たちは今、何を思うのか。

 「長かった」。前町長の高山欣也さん(76)はダム湖を望む高台の自宅前で、そうつぶやいた。八ツ場ダムは戦後間もないカスリーン台風の被害を受け、治水対策として1952(昭和27)年に構想が明らかになった。その時、高山さんは小学生。地元では激しい反対運動が起きた。地元が生活再建を条件にダム建設を事実上受け入れたのは85年。その時点ですでに33年が過ぎていた。同時期に計画された利根川水系のダム群は次々に完成していた。

 ところがその後、八ツ場は工期延長を繰り返し、事業費も膨らみ続け、国内最高額のダム事業になった。

 民主党政権の誕生で、八ツ場…

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