「成功するまで帰るな」マルシアを突き放した祖父の真意

有料記事

辻岡大助
[PR]

 作曲家の猪俣公章(こうしょう)氏にスカウトされ、デビューするまでの2年9カ月、そのほとんどは内弟子だった。テレビ局主催の歌謡選手権のブラジル大会で優勝し、東京で開かれた世界大会では松田聖子さんの「チェリーブラッサム」を熱唱した。その歌唱力を見込まれたはずなのに、住み込みで入った家では料理や掃除、来客の接待の手伝いばかり。氏の曲でデビューする前まで、歌のレッスンを受けたことはなかったとマルシアさん(50)は振り返る。

 焦燥の日々。デビューの時期を尋ねても、俺を信じろと怒鳴られる。故郷・ブラジルの家族に、歌の勉強に励んでいるとうそをつくのがつらくて、トイレで一人泣いた。それでも歯を食いしばったのは日系1世の祖父、西家(にしいえ)佐登里(さとり)さんの一言があったからだ。

 「成功するまで帰ってくるな」

ここから続き

 17歳だった1986年、サ…

この記事は有料記事です。残り1292文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

【お得なキャンペーン中】有料記事読み放題!スタンダードコースが今なら2カ月間月額100円!詳しくはこちら