NBAスターの「足」を買う 中国ブランドの世界戦略

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奥寺淳 デザイン・加藤啓太郎
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連載「ANTA」第1回(全3回)

 バスケットボール最高峰の米NBA(米プロバスケットボール協会)に、「ANTA」という中国の新興ブランドのシューズを履いてプレーする米国人選手がいる。「史上最強の3ポイントシューター」との呼び声も高いクレイ・トンプソン(29)。これまで5年連続でゴールデンステート・ウォリアーズ(カリフォルニア州サンフランシスコ)をNBAファイナルに導き、うち3度の優勝に貢献したスター選手だ。プレーオフでひざをけがして手術したにもかかわらず、今オフ、5年で1億9000万ドル(約203億円)でウォリアーズと再契約を交わすなど、スーパースターへの階段を駆け上っている。

 なぜ、これまで数々のNBAスーパースターが選んできた「NIKE」や「ジョーダン」ブランドではなく、ほとんど無名の中国ブランドを選んだのか。シューズの質には満足しているのか。チャイナマネーの威力なのか――。考えるほど、疑問が次々と浮かび上がってくる。ただでさえ今の米国は中国に対する風当たりが強い。これは、トンプソン本人に会って疑問を直接ぶつけてみるしかない。9月初旬、熱狂的な中国ファンの前に姿を現すと聞いて、上海の会場に向かった。

NBAに迫る中国勢

NBA選手の約4%が中国ブランドの靴を着用――。その代表格「ANTA」の戦略を3回に渡りお伝えします。トンプソンのインタビュー動画もあります。

 ANTA本社には約半年、取材を申し込み続けてきたが、ほとんど門前払いだった。イベント会場に行けばなんとかなるはずと突撃取材を試みたところ、中国の地元メディアに交じって、トンプソンへのインタビューにも成功。アディダスでシューズデザイン部門のトップを務めた後にANTAへ移籍してきた人物、ANTAのブランド担当役員らへの取材も重ね、トンプソンがANTAを選んだ理由、そして同社の戦略や本気度が浮かび上がってきた。

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■米国に直営店ゼロ…

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