第2回
「分かりやすい言葉で言えば、力が抜けたという、そういう状況だったかと思います」
昨年4月10日、東京地裁の刑事法廷で、東京電力原子力設備管理部の土木調査グループ元課長、高尾誠(55)はそう証言した。
その10年前、2008年7月31日の社内会議で、検討中だった高さ15・7メートルの津波への対策を実行に移す段取りではなく、津波の想定高さの算出方法を「研究する」との方針が常務・武藤栄(さかえ)(69)の発案により決まった。土木調査グループの技術判断が経営判断で覆され、方針が変更されたのだ。
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「それまでずっと対策の計算…
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見送られた津波対策 訴訟記録から浮かんだ事実
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