表現の不自由展再開 中止前の状態「維持」合意の背景は

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 国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」(津田大介芸術監督)で、中止になっていた企画展「表現の不自由展・その後」の実行委員会が30日、展示再開を求めた仮処分を取り下げ、10月6~8日に再開することで芸術祭実行委員会と合意した。中止前の状態での再開にこだわっていた企画展実行委は、どんな形で再開すると合意したのか。

 記者団の取材に応じた企画展実行委の代理人・中谷雄二弁護士によると、芸術祭実行委側から30日朝に大村秀章知事が公表した再開への4条件の提示があった。①犯罪や混乱を誘発しないように双方協力する②安全維持のため事前予約の整理券方式とする③開会時のキュレーション(展示内容)と一貫性を保持し、(来場者に)エデュケーションプログラムなど別途実施する④県庁は来場者に(県の検証委の)中間報告の内容などをあらかじめ伝える――の四つで、中谷弁護士は、「この内容で和解しましょう、と申し入れました」と説明する。

 その上で、③のキュレーションの一貫性について、中谷弁護士は「同じ場所で作品を動かさないという趣旨ではなく、同じ部屋の中で個々の作品を動かすことはあり得るが、その範囲であって、一貫性、同一性を崩すことはしないと確認した」と述べた。展示は、慰安婦を表現する少女像や昭和天皇を含む肖像群が燃える映像作品など16作家の23作品が集められていたが、それらをまとめた企画展としての「一体性」は維持された、とみているという。

 取材に同席した企画展実行委のフリー編集者の岡本有佳さんによると、「(作品の移動など)もちろん作家の了解を得ないといけないが、(作品の)維持と(展示)方法の改善の可能性を含むという意味だ」という。企画展実行委の一人、美術批評家のアライ=ヒロユキさんも「作品が集まった一体性というのがこちらのキュレーションのひとつの眼目で、それが今回の和解では担保された」と説明している。

 また、芸術祭実行委が挙げる…

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