歯の治療、院内感染対策は HIVや肝炎に感染の国も

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小川裕介
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 器具で歯を削るなどして血液や唾液(だえき)が飛び散る歯科治療には、感染症への対策が欠かせない。もし病原体を含む体液がついた器具を使い回せば、感染リスクが高まるからだ。だが、患者ごとに治療器具を取り換える歯科医は、半数にとどまるという最近の調査データもある。なぜ、対策は進まないのか。

設備・意識に温度差

 JR新大阪駅前の高層ビルの一室にある「新大阪ミナミ歯科クリニック」。昨年11月に開業し、1日に40~50人の患者を受け入れる。治療に使うミラーやピンセット、歯を削る機械式のハンドピースなどは患者ごとに取り換え、専用の機器で滅菌処理している。

 5台の診察台は間を仕切り、医師や歯科衛生士らは手袋を着用。午前と午後の1回ずつ、約2時間かけて治療器具を洗浄し、専用の高圧蒸気で滅菌する機器(オートクレーブ)にかけて処理し、袋で密封している。

 洗浄と滅菌の機器をそろえるには約400万円かかった。南清和総院長は「滅菌処理は設備投資や人件費がかかり、作業も煩雑だが、そろえるのが当たり前の時代になった」と話す。

 歯科治療では日常的に細菌やウイルスを含む可能性がある血液や唾液が飛び散るため、感染症対策が欠かせない。

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