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 「沈黙の病」と呼ばれる腎臓病の超初期に、何が起きているのか。重井医学研究所(岡山市南区山田)の古家野孝行研究員らは、腎臓の細胞が一定期間、自らの細胞分裂を一時停止し、懸命に自衛していることをマウスで突き止め、指標となるたんぱく質も見つけた。古家野さんは「診断や新しい治療薬の開発につながれば」と話す。

 これまでの研究で、マウスで腎臓の尿管をクリップで止め人工的に腎不全状態にしても、2日後までならクリップを外すと腎機能は回復すると報告されていた。

 回復の分岐点で何が起きているのか。古家野さんらが実験を再現し、細胞の状態を詳しく調べると、腎不全状態になって2、3日後には、尿作りの最終工程を担う「尿細管」の細胞の一部が細胞分裂を停止していた。これは、細胞の緊急防御機構が働いていることを示す。この時期を過ぎると、この働きは急速に衰え、腎臓の組織は元に戻らない病変に進んでいった。

 腎臓病は自覚症状がないまま進行し、症状が出たときには腎機能が大きく損なわれていることが多い。共同研究者の松山誠・重井医学研究所室長は「自覚症状のない段階で病状の分岐点を知る手がかりが見えた。腎不全の予防や早期治療につながるのでは」と期待している。

 成果は英電子科学誌「サイエンティフィックリポーツ」に掲載された。(中村通子)