経済インサイド
最新のスマートフォンが「最大半額」で買える――。携帯大手のKDDI(au)とソフトバンクが9月に相次いで発表した端末販売サービスが、直後に見直しを迫られた。きっかけとなったのは総務省や消費者庁からの批判。その理由は「SIM(シム)ロック」という一般には聞き慣れない言葉と、「半額」という広告の表記だった。携帯電話の販売ルールを見直し、通信料金を引き下げようとする総務省と、顧客を囲い込もうとする携帯大手の「SIMロック騒動」が映し出したものとは。
「iPhone祭り」の裏で
米アップルの新型スマホ「iPhone(アイフォーン)11」が発売された9月20日朝。ソフトバンクの榛葉淳副社長は東京・銀座の店舗で「2、3年に一回は買い替えたいという声がある。iPhone購入に合わせてご利用いただければ」と「最大半額」の新サービスをアピールした。
ソフトバンクが9月9日に発表し、KDDIが12日に追随した「最大半額」の仕組みはこうだ。スマホを48カ月の分割払いで買い、25カ月目以降に指定端末に買い替えて旧端末を返却すれば、旧端末の残金を免除する。自社への通信契約をしなくてもサービスを使える。つまり、2社は純粋に端末を売るだけのサービスを始める、というのだ。
なぜこんなサービスを始めるのか。それは、総務省が10月から導入する携帯電話販売の新ルールが関係している。
10月施行の改正電気通信事業法では、自社回線の契約者に端末を売る場合、端末代の値引きは2万円までに規制される。従来は多額の端末値引きで客を引き寄せ、値引きの条件として通信契約をしてもらう「セット販売」が一般的だった。しかし値引きの原資は高い通信料金で、顧客の囲い込みにもつながると総務省は問題視。セット販売での値引きを制限した。
そこで2社は、通信契約を条件にせず、端末を割安に販売する「最大半額」を打ち出した。セット販売では値引きが制限されるため、通信契約とは「セットにしない」ことで規制をかわし、大きめの値引きを打ち出した。これで客を店舗に引き寄せられれば、通信契約をしてもらえるチャンスも生まれる。
総務省の「お墨付き」のはずが…
ただ、20日のiPhoneの新型発売に合わせたイベントで新サービスがPRされた「iPhone祭り」の裏で、ソフトバンク関係者は気をもんでいた。「なんでこんなに話が膨らんだのか」。同日午後には総務省の有識者会議で、「最大半額」サービスに関する議論が予定されていたからだ。
なぜ発表されたばかりのサービスを総務省が議論するのか。実は「最大半額」にはある仕掛けがあった。
ソフトバンクが9日に「最大…
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