【まとめて読む】患者を生きる・眠る「体内時計のずれ」
深夜を過ぎても眠れず、朝たたき起こされても目が覚めない――。東京都の竹前翔太郎(たけまえ・しょうたろう)さん(31)は、14歳の時、突然体の不調に悩むようになりました。いくつもの病院にかかっても原因はわかりませんでしたが、9年後、体内時計が関わる、ある病気だと診断されます。
中2で異変、朝目覚めず
午前5時、東京・新宿。まだ人の姿もまばらな街を通り抜け、竹前さんは家路につく。
夜から明け方にかけ、電話で様々な悩み相談にのるNPO法人で仕事をしている。帰って就寝して、起きるのは正午過ぎ。体内時計のリズムが、24時間のサイクルに合わない「概日(がいじつ)リズム睡眠・覚醒障害」を抱えている。
長野県須坂市に住んでいた中学2年のころ、急な体調の変化に苦しんだ。
朝、家族にたたき起こされても目が覚めない。ふらふらしながらなんとか学校へ行ったが、寝ぼけて途中で車にはねられそうになったこともあった。胃腸の調子が悪く下痢を繰り返し、頭が重くて授業に集中できなかった。肌が荒れ、ニキビが増えていった。
眠りにつく時間は、午前0時、2時、4時……と、遅くなっていった。両親やきょうだいはみんな朝型の生活。家中が寝静まっても、自分だけ眠れない時間を過ごすのは孤独だった。外へ出てみても、周りは田んぼばかりで行くあてもなかった。「消えてしまいたい」と思うこともあった。
「なぜこんなにいつも具合が悪いんだろう」。不調の原因を突き止めようと、病院にかかったが、異常は見つからなかった。
絵を描くのが得意だった。美術科のある高校に進学したが、徐々に休みがちになった。たまに昼過ぎに起き、学校に行った。活発だった性格は影を潜め、友人との付き合いも少なくなった。
「とにかく起こして、学校へ行かせなくては」。教員だった父伝蔵(でんぞう)さん(62)をはじめ、家族も心配した。スクールカウンセラーにすすめられて心療内科なども受診し、様々な薬を使ったが、改善はしなかった。
なんとか高校を卒業したが、大学進学はあきらめざるを得なかった。美術の専門学校に進むため、20歳で上京した。家族との関係もうまくいかないなか、「居場所がほしい」という気持ちもあった。
夜になってもにぎやかな都会の生活は、心地よかった。学校へ行くときは、病院で処方してもらった睡眠薬を使い、早めに眠るようにした。
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