「社会とオカルトの関係視野に」 新連載小説で中村文則

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中村真理子
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 10月1日から、中村文則さんの新しい連載小説「カード師」が始まった。トランプやカードが鍵となる物語には、現代社会のゆがみや息苦しさが投影される。

 主人公の男は、占いを信じていない占い師。トランプやタロットカードを巧みに扱い、相手の望むような未来を告げる。「味気ない現実だけを見て生きていくのはしんどい。誰もが別の世界を求めたいと願う」。別の世界には、たとえば宗教や運命、縁などを信じるだけでなく、物語やスマホを見ることまで含まれる。「良い面も危険な面もある。息苦しさの果てに人々が求めるもう一つの世界の危険性まで書けたら」

 危険な面とは。「一例として」と前置きして「ナチス的なもの」と続ける。「大の大人がそろいの制服を着て、片腕を上げる同じポーズをする。幼稚なファンタジーのよう。人間の奥底にある暗い願望が虚構となり、奇妙な空間となって、現実世界に出現した結果と見ることもできる」

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