三つ子育児の過酷さあらわ 傷害致死裁判から見える実情

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大野晴香
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 三つ子の次男(当時11カ月)に対する傷害致死罪に問われ、一審・名古屋地裁岡崎支部が懲役3年6カ月の実刑判決を言い渡した愛知県豊田市の母親(31)の控訴審判決が24日、名古屋高裁で言い渡される。裁判を通じて双子や三つ子といった「多胎」育児の過酷さが明らかになった。

 豊田市で2018年1月、自宅で泣きやまないことにいら立ちを覚えた母親が、次男を畳に2回たたきつけた。次男はその後、死亡。一審・名古屋地裁岡崎支部は、母親に懲役3年6カ月の実刑判決を言い渡した。

 ミルクは3人あわせて日に最低24回。寝る暇もなく、同時に泣かれるとどうやってあやせばいいかわからない……。裁判では多胎育児の過酷さが語られ、母親が負担の大きい三つ子の育児をひとりで抱え込み、犯行時は産後うつの状態だったことが明らかになった。

 事件後、外部検証委員会がまとめた報告書では、同市が「多胎妊娠に対する支援体制が欠如し、出産後も多胎育児に対する問題意識が希薄だった」と指摘。母親が出産や育児に不安を抱えていることを把握しながら、要支援妊婦と判断しなかったことが明らかになった。

 報告書によると、母親が抱える問題を市の担当部署が把握していたが、対応は不十分だった。集団健診を担当した医師や職員は、虐待を疑う状況を把握したが、介入の重要性を認識しなかった。出産後の保健師による家庭訪問で把握された育児の問題点は、この健診の場で共有されなかった。さらに、家庭訪問した保健師も多胎育児に関する悩みを引き出すことができず、母親の相談相手として認識されなかった。

繰り返される多胎育児の虐待

 同様の問題は、過去にも指摘されている。

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