原発事故で避難続く町 来春一部解除も「戻りたい」1割

有料記事東日本大震災8年

床並浩一
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 東京電力福島第一原発事故による全町避難が県内で唯一続く双葉町の避難指示が一部解除されるまで残り半年。2022年春の特定復興再生拠点区域における避難指示の全域解除と居住開始も視野に、復興に向けた動きが加速しているが、町内の大部分に広がる帰還困難区域における解除は見通せず、約6千人の町民のどれほどが戻るかも分からない。

 18日、来春のJR常磐線全線再開に向けて再整備が進む双葉駅前に、内閣改造で初入閣した菅原一秀経済産業相が視察に訪れた。

 町の玄関口だった駅前商店街に人通りはなく、ラーメンが人気だった「大幸食堂」の建物が解体されるなど、見る影もない。だが、特定復興再生拠点の一部に含まれ、来春の一部避難指示解除に向けた除染放射線量が比較的低下している点を「懸命に努力してきた結果」と話し、「(町民が)一日も早く生まれ育った町に戻れるよう、努力していく」と語った。

 駅前周辺や一部町道と同時に避難指示が来春に解除される中野地区は津波に襲われた沿岸部にある。新たな「働く拠点」や「情報発信拠点」となる予定で、産業交流センターや震災や原発事故の伝承施設(アーカイブ拠点施設)、復興祈念公園など大規模施設のための資材を運び込む大型トラックが、慌ただしく行き来する。同じ避難指示解除準備区域内の両竹(もろたけ)地区では、野菜の出荷・摂取制限の解除を目標に、震災後初めての試験栽培も始まった。

 伊沢史朗町長は「復興の将来像がイメージできるようになってきた」と一定の手応えを感じている。避難指示が出た12市町村で唯一ルートから外れた来年3月の東京五輪聖火リレーについても、「ぎりぎり滑り込みセーフの可能性だってある」と実現に意欲を示す。

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