ぼくは鳥の首のミイラを、帝大工科大学の田辺保に託し、三田村家に帰宅した。
まだ夕方なのに、父ももう帰ってきていた。薄暗い居間でぼーっと煙管(きせる)を吹かしながら、ぼくを見上げ、「どうだった?」とかすかな期待を込めて聞いた。
「キジ科の孔雀(くじゃく)に似た何かの鳥の首だって。あまり興味を持ってもらえませんでしたよ」
「そうか……」
「その後、田辺保くんと会って。しばらく預かりたいと言われ、渡してしまいました」
父は「ふん!」とつぶやくと、ゴロリと横になり、
「あぁ、何もかも馬鹿馬鹿しい! 今日も金策のため駆けずり回ったが、芳しくなかった。火の鳥、か……」
ぼくは居間を出て廊下を歩きだした。そのとき父の悲しげな声が聞こえてきた。
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「未知の力を持つ妖獣なんて…
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