「完璧主義者」ゆえに悪い癖も メッセ引退、通訳の思い

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辻隆徳
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 10年間で日本通算98勝を挙げたプロ野球阪神のランディ・メッセンジャー投手(38)が18日午後、兵庫県西宮市内のホテルで引退会見を開いた。「本当はまだやりたい気持ちもあったが、体、腕が潮時だと言っているので、今がそのときだと思った」と率直な思いを口にした。

 長年、虎のエースとして君臨してきた右腕。その隣には、苦楽をともにしてきた「戦友」がいた。

 「僕とランディは、仲が悪いですからね」。こう笑って話すのは、2007年シーズンから球団で通訳を務める栗山正貴さん(36)。こんな冗談を言えるのも、10年間で築き上げた信頼関係があるから。この日の引退会見でも、隣には栗山さんがいた。

 身長170センチの栗山さんに対し、198センチのメッセンジャー。1軍にいるときは、2人でキャッチボールやトレーニングをする姿が、遠くからでも確認できた。互いに小さな子どもがいて、プレゼントを贈り合う「パパ友」でもある。

 栗山さんはメッセンジャーを「負けず嫌いな完璧主義者」と言い表す。来日1年目は中継ぎで起用されたが、結果を残せずに2軍落ちした。当時、2軍担当だった栗山さんに「俺は絶対はいあがって、1軍で結果を残す」と宣言したという。栗山さんは「ファームに居心地の良さを感じたくないとも言っていた。悔しさというのはひしひしと伝わってきた」と振り返る。

 その後は、練習場はもちろん、自宅でも相手打者の映像を見て研究した。なじみのない異国の言葉。好打者の名前を必死に覚え、それ以外の選手も背番号を頭にたたきこんだ。栗山さんは「ずば抜けて研究していた印象がある。彼以上に勉強熱心な外国人はいなかった」。その姿勢は先発の柱となった11年以降も変わらなかった。たとえ完封勝利しても「ここがダメ。もっともっと良くなる」と決して自分の投球に満足するような投手ではなかった。

 ただ、思うような投球ができないと、マウンド上でイライラする悪い癖もあった。そんなときは栗山さんが「壁」となった。「やっぱり自分の言語ではき出すほうがいい。僕だから話せることもあったと思う」

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