指動かなくなるまで 津波バイオリン、脳性まひ奏者の音

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緒方雄大
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 脳性まひのバイオリン奏者、式町水晶(みずき)さん(22)が22日、東日本大震災の被災地、岩手県陸前高田市で「津波バイオリン」を奏でる。披露するのは、この地で出会った被災者の言葉に着想を得て作った曲だ。

 やわらかい丸みのある音が流れた。9月中旬、東京都渋谷区のバイオリン工房。津波の流木で作ったバイオリンを手にした式町さんは、そばにいた楽器職人の中沢宗幸さん(78)に話しかけた。「年数が経つほど、音の温かみが増してきた」。中沢さんは優しく笑ってうなずいた。

 式町さんは北海道で生まれ、東京で育った。小脳が通常の半分ほどしかない「小脳低形成症」で、手足などにまひがあった。中学2年生の時には、医師から「寝たきりになるかもしれない」と宣告された。震災が起きたのはそんな時だった。

 テレビに映る被災地に絶句しながらも、「何かの役に立てないか」と思い立った。自分にはリハビリのために4歳から手にしたバイオリンがあった。母の啓子さん(49)と話し合い、被災地での演奏を始めた。

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 「被災地の役に立ち続けたい…

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