「素晴らしい走り」「まだチャンスある」――。東京五輪代表の座をかけた「マラソングランドチャンピオンシップ(MGC)」。大舞台を目指して、しのぎを削る選手たちに、会社の同僚や母校の恩師らが沿道から地元から、それぞれにエールを送った。
女子で優勝した前田穂南(ほなみ)選手(23)=天満屋=は、兵庫県尼崎市の園田東中学校出身。当時の陸上部顧問だった白井英世さん(41)は沿道に駆けつけ、7キロ、31キロ、35キロ地点と選手が3回通過する場所で見守った。
「前田頑張れ」。1度目の通過も、2度目も、声を上げた。3度目。トップで走り続ける姿に胸打たれた。目の前を走り抜けたその姿に、「走ることが好き」だった中学時代の教え子が重なった。「自然と涙が出ていました」
中学1年の頃、1500メートル走で5分を切れず、一人で泣いていた。「この子は強くなる」と白井さんは思った。朝練も欠かさず、学校の内外をいつも走っていた。
口数は多くない。でも、MGC出場の権利を得た時に電話があり、海外の高地トレーニングなどの際は手紙をくれた。中学時代に白井さんが部員に言い聞かせたのが、「継続は力なり」。天満屋のホームページの選手紹介で、前田選手が好きな言葉に挙げているのも同じ言葉。覚えてくれていたのかな、とうれしくなった。
「コツコツと走り、力をつけたんだと思う。心からおめでとう。来年も応援に行きます」
前田選手と、3位になった小…
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