政治家にヤジも言えない? 元道警幹部が指摘する危険性

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斎藤徹 伊沢健司
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 街頭演説中の政治家に「ヤジ」を飛ばした市民を北海道警の警察官が強制的に排除した問題が起きてから、15日で2カ月がたった。道警はいまだに「事実確認中」とくり返し、詳しい法的根拠の説明をしていない。そもそも、政治家にヤジを飛ばすことは許されないことなのだろうか。

 7月15日夕、JR札幌駅前参院選で応援演説をしていた安倍首相に向け、ソーシャルワーカーの男性(31)が「安倍やめろ」「帰れ」と連呼した。直後、男性は複数の警察官に体をつかまれ、後方へ移動させられた。男性が理由を尋ねると「演説を聞いている人の迷惑になる」と説明された。

 演説会場周辺は与党支持者らで埋まり、保守団体などが「安倍さんを支持します」と書かれたプラカードを配っていた。「会場の雰囲気にちゅうちょしたが、格差が広がる現状への不満を直接首相に伝えたかった」と男性。「周囲の支持者とトラブルになっていないし、暴れてもいないのに犯罪者のように扱われたのはおかしい」と振り返る。

 ヤジをめぐっては、札幌以外でも話題になった。柴山昌彦文部科学相(当時)は8月27日の記者会見で、3日前に埼玉県知事選の自民推薦候補の応援演説をした時の出来事を引き合いに出し、集まった人は候補者や応援弁士の発言を聞きたいはずだとして「大声を出すことは、権利として保障されているとは言えないのではないか」と述べた。

 辞書で「ヤジ」と引くと、「第三者が当事者の言動を大勢に聞こえるよう大声で非難しからかうこと」とある。

 柴山氏の発言については、SNS上で「表現の自由の侵害だ」と批判があった一方、「ヤジは騒音」「演説を聞きたい聴衆にとって迷惑でしかない」と支持する意見も多かった。

 実際、ヤジは攻撃的な文言のくり返しになることが多く、聴衆が不快感を覚える場合も少なくない。ヤジを飛ばす人と演説を聞いている聴衆の権利は、法的にどう整理されているのか。

 札幌市の男性を排除した道警…

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