「神様、元気な時間をあと7日」 妻よ、残された僕は

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土井恵里奈
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 妻の他界についてつづった朝日新聞「声」欄の投稿が本になり、歌になった。差出人は70代の男性。妻と知り合ってからの52年間に「ありがとう」と書いた。きっかけは、妻が入院先のベッドの枕元のノートに残した「七日間」という詩だった。

 《神様お願い この病室から抜け出して 七日間の元気な時間をください 一日目には台所に立って 料理をいっぱい作りたい あなたが好きな餃子(ぎょうざ)や肉味噌(みそ) カレーもシチューも冷凍しておくわ》

 昨年3月9日付の東京本社版の朝刊、25日付の大阪本社版の朝刊に掲載された。見出しは「妻が願った最期の『七日間』」。がんで闘病し、1月に70歳で亡くなった妻の詩を紹介しながら、夫(72)が投稿した。「葬式も済んで荷物を片付けると、みんなの記憶から忘れられると思うようになった。新聞で活字にしてもらえばずっと残せる」と込めた思いを語る。

 夫婦は、川崎市の宮本英司さんと容子さん。大学時代に知り合い1972年に結婚、子や孫に恵まれ、ささやかで平穏な暮らしをしていた。4年前、容子さんにがんが見つかった。ステージ4の小腸がんだった。思い出を残そうと、翌年2月から入院先の病室で始めたのが、夫婦の交換日記。知り合ってからの半世紀をお互いに振り返り、文字に残した。病が進むと、容子さんの言葉を英司さんが代筆した。詩は、そんなやりとりの中で生まれた。

 新聞掲載後、思いがけず反響…

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