死刑制度、世界では少数派 存続は日本・米国・中国…

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真海喬生
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 米国で連邦政府による死刑執行が16年ぶりに再開されます。日本では民主党政権時代に一時、執行がありませんでしたが、同政権後期の2012年以降は再び毎年の執行が続いています。昨年も、オウム真理教元幹部13人への死刑が執行されました。ただ、日米の動きとは反対に、欧州連合(EU)はすでに死刑制度を廃止しています。世界では、どのくらいの国々が死刑制度を持ち、何人に執行されているでしょうか。世界の死刑制度に詳しい一橋大の王雲海教授に尋ねました。

 ――死刑制度について、各国の状況を教えてください。

 国際人権団体アムネスティ・インターナショナルの統計では、18年時点で正式に死刑を廃止した国は106カ国あり、事実上廃止した国を加えると計142カ国にのぼります。「廃止」は制度上も死刑を無くした状態、「事実上廃止」は制度は残しつつ、長年執行していない状態を指します。つまり、世界にある193カ国(国連加盟国)の7割ほどが死刑を執行していないことになります。

 「先進国クラブ」ともいわれ、日本も加盟する経済協力開発機構OECD)の36カ国に限れば、軍事犯罪をのぞく通常犯罪への死刑制度が残るのは日本と米国、韓国だけです。しかも韓国は長年執行していません。死刑を執行している国はアジアや中東に多く、インドネシアサウジアラビア、イランなどイスラム教徒の多い国では、宗教的な理由で死刑が続いています。一方で、死刑に反対の立場をとるカトリック教徒が多いアルゼンチンなど南米の国々は、廃止に踏み切ったケースが多いです。欧州ではすでに、ベラルーシをのぞくすべての国が廃止しました。

 ――なぜ欧州では多くの国が死刑を廃止したのでしょうか。

 人権について「世界の先頭に…

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