激痛、電柱にしがみついた 100キロ歩いた52歳記者
神奈川県小田原市の小田原城址(じょうし)公園を出発し、東京・築地までの100キロを26時間以内で歩く「東京エクストリームウォーク100」(朝日新聞社主催)が11月2~3日に開催される。6月にあったプレ大会で、人生初の100キロウォークに挑戦した朝日新聞スポーツ部の畑中謙一郎デスク(52)が体験記をつづった。
早朝の新幹線、後悔
6月1日の早朝。東京駅から乗った「こだま639号」が、小田原に到着するまでの35分間、車窓の風景を見ながら、ずっと後悔していた。
「こんな距離、歩けるわけないじゃん」
昨年5月から、ウォーキングを始めた。入社して以来、酒と食を愛してやまない私の体は、15キロ以上も肥大化し、健康診断の数値も悪化の一途。さすがに何とかしなければ、と思っていた。とはいえ、ジョギングは絶対に続かない自信があるし、今さらジムに通うのもかったるい。そんな時に、会社の健康保険組合が社員向けに企画した「ウォーキングプログラム」なるものに興味本位で応募してみたのがきっかけだ。
歩き始めると、これが思いのほか楽しい。早朝か夜に約6キロを約1時間かけて、自宅近くの遊歩道や公園を歩いた。ウォーキングの良さは、誰でもいつでも始められる手軽さ。マイペースで歩き、調子が悪ければ、途中でやめればいい。寄り道、買い食いもOK。普段気づかない風景が新鮮で、たまにお金を拾うこともある(もちろん警察に届けました)。
そのうち、もう少し運動強度を上げたくなった。「徒歩でどこまで遠くに行けるか」とテーマを決め、リュックを背負って出かけた。都内の自宅から川崎市や千葉県船橋市まで遠出するように。ウォーキングを始めて1年。40~50キロ程度なら歩ける自信がついていた。7キロの減量に成功し、これまではいていたズボンがぶかぶかになった。
そんな時、社内の知人から「100キロウォークに出てみない?」と誘われた。家族にそのことを話すと「せっかくの機会なんだから、チャレンジしてみれば」と息子。「酒の席のネタにできるなら」の軽いノリで、無謀にも参加を申し込んだのだ。
若い女性、黒光りの男性にひるむ
小田原到着。スタート地点に行くと、意外と若い女性(20歳代後半から30歳代)が多い。さらに、これまでに参加した大会のバッジをリュックに何個もつけ、顔が黒光りしている男性(見たところ30歳代)に圧倒された。
午前10時にスタート。最初のエイドステーション(15キロ地点)を過ぎると、この大会の見せ場が始まる。大磯から平塚、茅ケ崎、藤沢に抜ける海岸線コースは絶景そのものだ。すれ違うサーファーやジョガーからの「ガンバー!」の応援が心地よい。
34キロ地点の第1チェックポイント(CP)を通過。水がうまい。バナナもうまい。ここを出た直後から、未体験の感覚にとらわれた。体が軽いのだ。おのずとペースが上がり、勾配のきつい坂道でも息が切れない。20人以上は抜いただろう。「やっぱり日々のトレーニングはウソをつかないな」と悦に入った。
はまった「ウォーカーズハイ」
しかし甘かった。これが「ウ…
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