停電の特養「いつまで持つか…」 体調崩す高齢者が続出

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寺崎省子 松本江里加
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 台風15号に伴う停電が続く千葉県で、エアコンが使えなくなった介護施設では、体調不良を訴える高齢者が相次いでいる。熱中症が懸念されるなか、妊産婦ら配慮が必要な人を優先的に受け入れる避難所も出てきた。

 ぐにゃりと折れた電柱が道をふさいでいた。千葉県君津市特別養護老人ホーム「夢の郷」(定員80人)は、12日朝も停電が続く。台風直撃から丸3日間、電気もエアコンも使えず、日中は35度前後になる室内で入所者や職員は過ごす。

 10日、6人が発熱した。看護師の池田好江さん(53)は嘱託医に相談し、点滴を準備して様子を見た。しかし、11日には、発熱する人が11人に。38・9度の高熱を出し、救急搬送された女性(82)もいた。エレベーターが使えず、救急隊員と職員計4人が簡易担架で3階の居室から1階へ運んだ。女性は搬送先の医療機関で、熱中症で脱水となり慢性心不全の状態が悪化したと診断され、入院した。池田さんは「夜になっても気温が下がらず、眠れない人もいる。暑さの疲れが出てきているのでは」と心配する。

 自前で電気を確保しようと、施設はカセットガスで動く発電機約10台をフル活用している。酸素吸入が必要な入所者の部屋に置き、医務室とデイサービス用の冷蔵庫計2台を動かした。

 しかし、停電で施設のポンプが動かず、水洗トイレも使えない。職員は20リットルのポリ容器を20個用意して水をくみ、バケツに移し、トイレを流している。

 薄暗い食堂で、ご飯やおかゆ、みそ汁をつくり、簡単なおかずをつけた食事を出している。しかし、暑さも加わって食べる量が減ったり、用を足す回数を減らそうと水分を控えたりする入所者もいる。

 普段は夕食後もリビングで過ごすが、今は日が暮れると、ほぼ真っ暗。「何かあっても暗くてわからないから」と、11日は午後6時ごろから、職員が入所者を居室へ連れていった。「暑くてごめんね」。天笠寛理事長(56)が声をかけると、ある女性入所者は「あなたのせいではないわよ」とほほ笑んだ。

 インスタントラーメンなどの…

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