46歳で剣の道に 4段の藤沢周が語る小説との深い関係
加藤修
芥川賞作家の藤沢周さん(60)は、切れ味の良い小説で現代社会と切り結んできた。46歳にして始めた剣道は作品にも結実し、腕前もいまや4段。愛用の竹刀を手に剣道と小説の深い関係を語ってもらった。
「大人になったら、もののふ(武士)になりたい」と言っていた小学生の息子に付き添って道場を訪れたのが、剣道を始めたきっかけです。13年以上続けています。
父が柔道の選手で、自分も子どものころから柔道をしていたので、剣道もちょっとはできるだろうと思っていました。でも、実際に竹刀を合わせてみると、いかに自分が未熟で弱いかを思い知らされました。
剣道では「驚懼(きょうく)疑惑(ぎわく)」を四病(四戒)としています。驚いて動揺したり、懼(おそ)れる気持ちを持ってしまったり、どんな技を出してくるのかと疑ったり、迷ってしまったりすることです。相手との戦いというより、自分の心のなかのそうした「ノイズ」との戦いです。
相手と対峙(たいじ)してい…
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