対話路線?思いつき加速? ボルトン氏なき米外交どこへ

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ワシントン=土佐茂生 渡辺丘 ワシントン=園田耕司
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 トランプ米大統領が10日、ボルトン大統領補佐官(国家安全保障担当)を更迭した。外交安全保障政策の司令塔の交代は、3回目。他国への軍事介入に積極的なネオコン新保守主義)の筆頭格が政権を去ることで対話路線が進むことが期待される一方、トランプ氏の思いつきにまかせた外交姿勢がさらに加速するとの懸念も出ている。

 「彼の提案の多くに私は強く反対した」。ボルトン氏の更迭を発表したトランプ氏のツイートは、「ケンカ別れ」を印象づける冷たい内容だった。不仲を決定的にしたのが、アフガニスタンの反政府勢力タリバーンとの和平協議だったと米メディアは指摘する。

 トランプ氏はアフガニスタンからの米軍の段階的な撤退を模索したが、ボルトン氏は「タリバーンを信用してはいけない」と反対。ワシントン・ポストによると、8月に政権幹部がこの問題を協議した会議で、ボルトン氏は当初外された。

 トランプ氏はワシントン郊外のキャンプデービッド山荘にタリバーン指導者を招くことを画策。これにもボルトン氏が反対したため更迭を決断したとされる。米CNNテレビによると、両者は9日、これについて激しい口論になった。米国とタリバーンの和平協議は基本合意に達していたが、トランプ氏は7日、米兵1人を含む12人が殺害されたタリバーンによるテロを理由に中止を表明した。

 タカ派のボルトン氏は昨年4月の就任後、すぐにその存在感を示した。

 ロイター通信によると、トランプ政権が、2015年にオバマ前政権が主導して結んだイランとの核合意から離脱することを決めた際、ボルトン氏はトランプ氏に「あなたの直感は正しい」と耳打ちし決断を後押し。ボルトン氏の執務室には大統領令のコピーが額縁に入れて飾られたという。

 2人の溝を深めたのが、北朝鮮をめぐる対応だ。今年2月にベトナムで行われた米朝首脳会談では、ビーガン北朝鮮政策特別代表が合意案づくりを進めたが、ボルトン氏がトランプ氏に働きかけて決裂させた。しかし成果をアピールしたいトランプ氏は金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長と会談を重ね、ボルトン氏は「北朝鮮問題から完全に外された」(米政府関係者)。6月の板門店での首脳会談にもボルトン氏の姿はなかった。

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