5Gで遠隔手術はできるか?次世代通信規格の限界と課題
次世代の移動通信規格「5G」の商用サービスが、日本でも2020年春から始まる。大量のデータがより速くやりとりできるようになり、産業や社会に大きな影響を及ぼすと期待されているが、限界や課題もある。その実力とは。
車同士で通信可能に 完全自動運転は困難
5Gの特徴は主に三つ。①現在より100倍速い通信を可能にする「超高速」②リアルタイムに遠隔地のロボットなどを操作できる「超低遅延」③スマホやパソコンだけでなく身の回りの電子機器をネットにたくさんつなげられるようになる「多数同時接続」だ。
実際にどんなことができるのか。大手通信各社などは、全国各地で実証試験を進めている。
代表例の一つが、車の通信機能を大幅に充実させた「コネクテッドカー」だ。5Gの性能を生かして、現在のカーナビで得られるよりはるかに大量の情報を、いち早く得られる。
単にネットにつながるだけではない。例えば、道路情報をきめ細かく取得して走行ルートで事故や災害が起きていないか常時把握できるシステムや、車同士でデータをやりとりして先行車の搭載カメラの映像を共有するシステムなどの開発が進む。子どもが横断している場所を前もって知ることができれば、より安全な走行につなげられる。
KDDI次世代ネットワーク開発部の黒沢葉子副部長は「車の部品の劣化をネットで検知するなど、車自体の安全性向上も期待できる」と話す。
一方、人が操作しない完全な自動運転は、5Gでも難しい。通信途絶を完全になくすことはできず、アクセルやブレーキなどを遠隔で安全に制御できる保証がないからだ。
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