長い闘いの、まだ始まりに過ぎないのか 香港デモを読む

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香港=益満雄一郎 聞き手・西本秀
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 香港での抗議運動が長期化している。なぜ市民の不満や怒りは収まらないのか。22年前の香港返還以来の歴史的な背景とともに今後の行方を読み解く。

英国の植民地時代に香港の行政長官を務めた陳方安生(アンソン・チャン)氏、長年にわたって香港政治を研究する倉田徹・立教大教授、現地で取材を続ける益満雄一郎記者の3人が、香港デモを詳解します。

 「逃亡犯条例」改正案を発端に広がった香港の抗議デモは、林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官が改正案の撤回を表明しても一向に収束の兆しが見えない。

 なぜか。3カ月にわたる一連の大規模な抗議は、そのプロセスを通して、「民主化」という香港市民の悲願と深く結びついたからだ。

 「社会の亀裂の修復が最重要の仕事だ」。2017年3月の行政長官選挙で当選した直後、林鄭氏は力強く語った。前任者の親中国路線への反発が市民の間に広がり、中国傾斜を強める経済界などとの断絶が深刻化していた。

 それから2年半。林鄭氏は修復どころか、取り返しがつかないほどに社会の分裂を深めてしまった。

 林鄭氏が抱える問題の根底には、事実上、中国の意向でリーダーが選ばれる香港の選挙制度がある。

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 17年の選挙の際、世論調査

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