津波火災の学校、解体か保存か 揺れる思い、迫る期限

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岡本進
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 あれから8年半。津波に襲われた宮城県石巻市の小学校の保存をめぐり、地元の住民らが復興庁に事業の凍結を求める事態になっている。市が校舎を半分ほど壊し、建物の規模を小さくして保存する計画に、当初は解体を望んだ住民らが反発しているからだ。

 海から約1キロ離れた3階建ての旧門脇(かどのわき)小学校は東日本大震災で、流されてきた車やプロパンガスのボンベによる引火とみられる火災で焼けた。学校にいた約240人の児童は裏山に逃げて無事だったが、下校していた7人が津波で犠牲になった。

 市が2015年に実施した元の住民らへのアンケート(133人が回答)では48%(64人)が解体を望んだ。だが、市は「津波火災」の貴重な建物と判断。「見るのはつらい」という住民に配慮し、長さ107メートルの校舎の中央部だけを震災遺構として残すことを16年に決めた。

 ところが地元の住民らが、昨年から今年にかけて独自にアンケート(136人が回答)した結果、79%(108人)が全体保存を望んでいた。町内会長の本間英一さん(70)は「私も解体を望んでいたが、震災から8年半が過ぎ、ようやく生活が落ち着いて先のことを考えられるようになった。遺構にするなら、そのままの形で残すべきだという人が増えた」と話す。

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 一方、亀山紘(ひろし)市長…

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