豪雨で両腕なくした観音像 犠牲になったみんなの供養に
後藤たづ子
2012年7月の九州北部豪雨で流された寺にあった観音像を安置する観音堂が、熊本県阿蘇市一の宮町坂梨で完成した。土地は、5人が犠牲になった家の跡地を遺族が提供。8月24日、地域の門徒が集まって開帳の法要を営んだ。
観音像があった浄土寺のある地区では6人の犠牲者が出て多くの家屋が全半壊した。住職がおらず門徒たちで大事に守ってきた寺も本堂ごと土砂に押し流された。数日後、復旧作業にあたっていた男性が、本堂があった場所から数百メートル先の土砂の中から木彫りの観音像2体を発見した。本堂に鎮座していた3体のうち、本尊の観音菩薩(ぼさつ)像(高さ125センチ)と、十一面観音像(同55センチ)だった。
観音像は800年ほど前に作られたと伝えられ、60年に1度だけ開帳されてきた。信徒会総代表の市原正・市議によると、発見時には両腕がなくなっていたが、災害に遭ったことも像の歴史として残す方がいいと、修復はしないことにした。
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安置する観音堂の新設に向け…
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